鉄道沿いの山の斜面に建つチャム塔は主祠堂(1)を中心に副祠堂(3)の4棟。建立時は6棟で構成されていた。
現存するチャンパ遺跡群の中では最も古く小規模な建造となっている。また、他の遺跡の正面開口部は全て東を向いて建てられているが、何故かポーダム遺跡だけは東面していない。
建立当時には建築様式が確立されていなかった事が窺える。
小さな主祠堂は既に修復され外壁に施されている鬼面のカーラや花葉文様をモチーフとした装飾模様の彫刻は見応えある状態となっている。だが、副祠堂の3棟は倒壊寸前の状況に置かれていた。
この地は過去にもチャレンジしたが小さな遺跡は生い茂る樹木の中に埋もれ、探し訪ねて行ってはみたがベトナムの仏教寺だったりした。日暮れも迫り結局は諦める事にして、その夜の宿泊地ファンラン(Phan Rang)に移動することにしたのだった。
再チャレンジの旅は2000年の5月、夜明け前のサイゴンを出発して、一路ポーダム遺跡を目指し国道1号線を北上した。
正午過ぎに到着したトゥイフォン(Tuy Phong )の町外れで尋ね歩いていると、田んぼのあぜ道をバイクで通り掛った村人が知っている様子だった。早速、交渉し運賃は往復30,000ドン(約200円)で成立。
私とガイドの3人を乗せた日本製50ccのバイクは高音の唸りを上げながら絶妙なバランス感覚で、よたよたと動き出した。
チャンパ遺跡18箇所の撮影に取り組み始めて10年の節目、残る最後のポーダム遺跡にやっと辿り着き念願の撮影を成し遂げた。最古の遺跡を締めくくりに、一区切り付いたことで感慨深い地となった。
皮肉なことに、何度か利用したベトナム統一鉄道沿いに存在していたということは、遺跡の脇を一再ならずも通り過ぎていたことになる。 |